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2017年03月30日

ホンモノの野球人の実像を知る【根本陸夫伝】

近年読んだ野球関連本の中で一番衝撃を受け、一番感動した本。
いわゆる(このブログで言うところの)「モンモンの御方」の本である。
弱小球団だった広島・西武・ダイエー(現ソフトバンク)を「常勝球団」に変貌させた、伝説のフロントマンの実像を、現在野球界の第一線で活躍する教え子たちの証言を元に浮かび上がらせる!

証言者は「監督(およびフロント)対選手」として相対した、デーブ、工藤、土井、衣笠、石毛、森、大田、下柳、森など…
さらにフロント仲間として、坂井、瀬戸山!
なぜか「流しのブルペン捕手」の安倍さんに、元拓大紅陵の監督だった小枝さん!日経で健筆を振っている浜田昭八!
マブダチとして関根潤三翁も登場!
そしてトドメは王貞治…

根本を監督と仰いだ人々は、最初大体「このヤロー」という感情を抱きながらも、最後は皆「オヤジ」と呼ぶようになる。証言者は皆ホントに「オヤジは…」と語っている。
特に印象的なのが(根本から見ると)「出来の悪い子」とも言えそうなデーブや下柳の証言だ。序盤のデーブの話が面白く、感動的だ。 「出来の悪い子ほどカワイイ」と言うけど、根本にとってもそういうところがあったのかもしれない。彼らに対する愛情の注ぎ方が実の親と何ら変わらない。
ある深夜のスナックで泥客と殴り合いになり、相手方の腕に「モンモン」があることに気付く…この話が公になれば、これ以上のスキャンダルは無い。クビになることも覚悟し、すぐオヤジに電話すると、「お前は合宿所に帰れ。後は俺が何とかする」と言ってオヤジ出動。翌日も何事もなく野球を続けるデーブ…

そんな無頼も逃げ出すようなオヤジの驚異的トラブル処理能力。いろいろな闇ネットワークも、おありなのでしょう(笑)
また、デーブがオヤジに「ぼくはおべっかなんか使いませんよ(相手のご機嫌をとったりしませんよ)」と言ったことがあったそうだ。するとヤーさんとの揉め事も収めてしまうようなオヤジが…
「おい、上の者はおべっか使わねぇより使ってもらった方が気持ちいいってことを覚えておけ」と言ったそうだ。
「オヤジもおべっかを使うのか?」
「使うよ。生きるにはおべっかは大事だ」
と真顔で答えたそうだ…爆笑。

とにかく若い選手と本気で向かい合っている血の通った大人の姿が、そこに映し出されている。「寝業師」などと呼ばれ、マスコミからは悪者扱いされてきた根本氏だが、この本を読んだら「好きにならずにはいられない」ぐらい魅力的な人物像が浮き上がってくる。
もちろん、ここで証言を述べている人達は成功した人々だろう。しかし本当にオヤジが凄いのは、夢破れて球界を去ることになった選手たちに対しても、可能な限り次の就職先などを面倒見ていることと、引退後もいつでも西武球場へ入場できるフリーパスを配ってあげていたことだ。たとえ成績が伴わなかったとしても一人の球界OBとして認めてあげている姿勢だ。モノでも捨てるように戦力外通告しているフロントが多い中、この人の実像が伝わって来なかった事に憤りさえ感じる。
もちろん、そういう待遇を受けた選手は嬉しいだろう。故郷に帰っても根本とは繋がっている。そうした元選手から「いいアマチュアの選手がいますよ、オヤジ」という情報も入ってくるだろう。なぜ、いい選手がああも根本の球団に集まっていくのか?人的ネットワークは「裏技」で築かれたものではなく、一人の選手を一人の人間として認めてあげる根本の「人間力」に基づくものであることが本書でありありと判った。
根本は日本シリーズが行われる際には、自腹で何百万も出してチケットを買ったそうだ。そして知人に配った…自らトップセールスもこなしていた訳だ。

先月のエントリー、ロッテで現役を終えた小島弘務のエントリーも、実はこの本に書かれてあった逸話だ(→唐川のように微妙に腕を下げた俊介の前の31番投手)。この選手はドラフト協約違反で西武入団が取り消しになり浪人生活を余儀なくされた。結局「自分の責任だから」と根本が小島を自宅の2階に住まわせ、「オレが来年お前をどこかの球団に入れてやるまで面倒を見る」ことになる。家だけでなく、小島のトレーニングにまで付き合った。「このオジサン、ヒマなのかな?」と若い小島は思ったそうだが、そんなヒマそうなオジサンのところに中曽根康弘元総理からのゴルフの誘いの電話がかかってきて、「あなた、ナカちゃんからよ〜」と奥さんが電話を受けている様を見て、根本がタダモノではないことを悟る話など、漫画なみに面白い。

野球界において無敵の感もある根本だが、恩師・藤田省三には全く頭が上がらず、藤田に進路報告に行く際は一人では心細いので「ジュンちゃん、付き合ってよ」と親友の関根潤三(関根とは日大三中・法大・近鉄で一緒だった腐れ縁)に必ず同行をお願いしていた話も傑作だ。強面でヤクザも一目置くような根本が、藤田氏の前では平身低頭、恩師が出かけようと立ち上がると、サッと後ろに回ってコートを着せてあげる…関根氏の暴露話も爆笑必死だ。

デーブにおべっかが大事なことを説いていたが、野球人でありながら、「野球をあまり知らないフロントと、もっともうまく付き合えた男」であることも間違いないところだ。瀬戸山にはフロントとしての仕事の1から10まで叩きこんでいるようだったが、ダイエー時代、中内ジュニアが現場介入してきた時、「このままでいいんですか?」という瀬戸山をたしなめるように、
「いいから、当分の間は『坊や』の好きなようにやらせてやろうや
と答えているあたりも、いい加減なのか深慮遠謀なのか判らず、逆に人間・根本の魅力が伝わってきた。野球人は野球素人の現場介入に我慢ならなくなるのが当然の理だ。最近では三木谷氏に憤慨した田代が記憶に新しい。この時の監督がデーブだったことも運命のいたずらか?デーブはオヤジ直伝の「おべっか」でピンチを切り抜けたんだろうか?そんな想像をするのも面白い。

森、森脇…といった俺の好きな指導者も「根本直系」ともいうべき後継者たちだ。彼らが一味も二味も違う理由が本書を読めばわかる。現役を退くことを報告にいったら、「お前明日パソコンを買って来い」と命令された森脇。まだパソコンもインターネットも普及していない時代(1996年)の話だ。
オレ流と言われ、誰もが、いや本人すらも監督に就任することなど想像もつかなかった落合に「お前は将来必ずどこかの球団に監督として呼ばれることになるから、その時はシゲ(森)をコーチに迎えろ。アイツはいいコーチになるぞ」根本は球界の先の先まで見通していた、うすら寒い話でもある。

90年代中葉、俺が憤っていた下柳の酷使は、合理主義者で自身も酷使で肩をブッ壊し、投手のコンディションに関しては人一倍うるさいはずの権藤コーチの元で、根本の承認を受けて「酷使」されていたことを本書で知った。その理由は…
そして下柳が明かす根本の「背中」の秘密…(選手間でもオヤジの背中には「モンモン」があると噂になっていたようだ!)
この辺は本書を読んだ人間だけが知ればヨロシ。
下柳の章の、下柳の最後の言葉。「もしオレが指導者になったら、オヤジに言われたことをまた言うだろうし、いつかオヤジみたいな野球人になりたい。オレはそう思ってます」
この言葉がこの本の全てだろう。

そして、この厳然たる事実。
「根本が西武を去って、誰も清原の事を怒れる人間がいなくなった…」

根本陸夫伝 プロ野球のすべてを知っていた男

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昨年1月に訪れた水戸市立三の丸小学校。藩校・弘道館の隣にあり、外壁はさながら城郭という風情のある小学校。ここが根本の母校の一つである(複雑な事情で転校を繰り返している。大学も立教、日大、法政と3つ行ってるらしい…)。

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posted by mansengo at 22:11 | Comment(0) | 野球現在・過去・みらい
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